1999年の雑感のコーナー・時々コラム目次へ

おいらは、ギャンブラー99/12/01
話したい事があったのに、言葉の重さにちょっと躊躇していました。軽いタッチで話す機会がなかったのがいけない。3月にラスベガスで、2000ドル勝った話などをすれば良かったかな。そもそも、「農業は、ギャンブルだ。」が、俺の持論で、成功は、実力、努力、以外に、様々な要因が関わっていると思う。二十歳頃から、競馬、マージャン、滞米中は、ブラックジャック、ジャンボ宝くじも毎回参加してる。トータルでは、たぶん勝っているはずです。歴史があるから、身を持ち崩すこともない。収支は毎回メモしているし、仕事が忙しい時は、PATで競馬する事さえない。ゆったりとした気持ちで楽しめなければ勝てるはずないからです。ギャンブルから、学んだ事も今の農業経営にいかされていると思う。だって、農業こそ、最高のギャンブルだから。

 

運がいい99/7/31
「運がいいとか悪いとか人は時々口にするけど、そういうことって確かにあるとあなたを見ていてそう思う。」なんて歌があったけど、皆さんは、どうですか。私は、とても運がいいと思っています。人が羨むほどついていると自分でも、そう思っています。たぶん、もって生まれたものだろうと信じています。もちろん、困難とか、試練とかもありましたが、涙がかれるほど泣いてから、「降り止まない雨がないように、きっと、晴れる日もある。」と思うと、生かされている自分自身の存在さえ、愛しく思えるようになりました。ポジティブシンキングとは明らかに違う世界が開かれているように思います。一期一会を大切にしてきた結果、運がいい人になっていました。
これからも、世のため人のために、生きて行きたい。

 

田舎暮らし99/7/5
最近、都市生活をドロップアウトした人たちを中心に田舎暮らしをしながら農業を志すという動きがあります。
自給自足的な農業は別にして、資金も技術も経験もない人が仕事としての農業に参入するのは、並大抵のことではありません。流した汗が報われず、努力が一瞬のうちに消えることもあります。それでも感謝し、反省し、謙虚になれる人でなければ、農業を続けることは難しいと思います。

 

蛍を見つけて99/5/30
サイトの更新を終えて事務所を出ると草陰から何やら光るものを見つけると、それは蛍でした。そうっと、手のひらに包み込み、寝室にいる子供たちに見せてあげました。初蛍に大喜びでした。手から放すと2階の屋根を越え飛んで行きました。すぐ近くの蛍のいる川に行ってみると、何匹も光っているではありませんか。ブドウ畑に隣接し、住居地の川にも関わらず、今年も、蛍が飛び交っていました。ここでのブドウ栽培は、特に、蛍に配慮しているわけでなく、それでも生き続けている蛍を見るとその生命力に驚きを隠せません。
ブドウの農薬散布は、他の作物に比べて少なく、環境にも優しいことのひとつの証しとも言えるのではないでしょうか。5月31日、境川農場の草陰に2匹の蛍がいました。

 

芽吹きの頃99/4/19
収穫が終わった時から翌年の収穫へ向けて管理作業が始まるわけですが、ここ数年は、技術改革に取り組みその成果が毎年確実に現われているからいつも以上に期待に胸を膨らませています。芽吹きの頃から忙しい日々が続きます。植物のストレスを考えるとこの時期が最初の試練であり、生育ステージに合わせて何度かストレスを乗り越え命を連続させていくのです。植物のストレスを和らげる栽培を心がけていると今まで見えなかった部分まで見えてくるから不思議です。
芽吹きの頃、生命の息吹と生きる力の裏側で大きなストレスを感じていると思って見ると何故か優しく素直な気持ちになります。

 

生命(いのち)の輝き99/3/12
旭川農業青年会議所の市田さんは、「農業は神様に一番近い職業だよ。」とにっこりと笑いながら私に話してくれました。10年前の私だったらその意味をどれほど理解できたのか疑問です。
私は、農業を通して生命の輝きを感じた時から新しい世界が広がったような気がします。ただ今それを言葉にしてうまく伝える事が私には、出来ません。

 

百年後の日本の農業99/2/14
最近意見を求められるとよくこの言葉を使います。もし頭の片隅にこの言葉があれば、無責任な発言や自分勝手な意見を口にすることもなくなります。農政批判するよりも農業者一人一人が大志を持つことが必要だと思います。あなたは、百年後の日本の姿を想うことがありますか。そしてそのために何かを伝えようとしていますか。

 

高級ブドウって何?99/1/15
だいたいブドウに高級も低級もないはずです。マスカットオブアレキサンドリアは、カリフォルニアでは、ジュースの原料でしかなく、そもそも高級フルーツという概念がありません。値段が高く、姿形も美しく、おいしいブドウが高級ならば、その実態は、10アールあたり数百万円もするビニールハウスで重油を燃やして早出ししたり、病害虫に弱い品種を農薬漬けで栽培したり、その結果のコスト増を消費者に押し付けているだけのこと。それほどまでして高級ブドウを食べたいと思いますか。特に、甲斐路系品種は、15回から20回近くの農薬散布をしており、その事実を生産者側から積極的に公表せず、より高品質のブドウを生産しなければ、消費者ニーズに合わず有利販売できないと思っている生産者が多すぎると思います。

 

生産者サジェスション
農業の基本は、適地適作です。生産コストとリスクを最小限にし、安心しておいしい農作物を適正価格で供給できるからです。多様な価値観のもとで農業を通しての自己表現が可能だとしても、農業の持つ社会的使命を考えれば、これからの生産者と消費者との関係から同じ生活者としての立場で信頼関係を築き上げる必要があります。
そのための一つの手段として、葡萄通信による情報公開を試みました。

 

持続型農業
有機(無農薬、無化学肥料)栽培は、農作物を安定価格で供給するには、国際的基準上、ほとんど現実的ではないと思います。低農薬栽培、無除草剤栽培、有機質肥料、ミネラル、完熟などほとんど実体のない基準が、溢れています。持続型農業は、農地、環境、景観そして経営を持続させるためのあらゆる技術を投入し、低コストで安定供給させるための理念だと考えます。肥料、農薬、除草剤、人件費は、なるべく使わないほうが低コストになり、単位面積当たりの収穫量をあげることが出来れば、より生産コストが下がります。おいしくて、安全、安心、適正価格での販売ができれば、企業として成長が見込まれ、経営規模を拡大する可能性も広がります。当園では、この理念の実現と栽培技術の検証が行われています。

 

心を込めて育てるということ98/10/15
苗木の植え付けから収穫まで3年から5年ほどかかります。もちろん収穫するまで1年を通して栽培管理をしなくてはなりません。ブドウ棚、苗木、肥料、農地の整備と初期投資が大きく、なかなか採算が取れません。
本当に好きでなければ、ブドウ農家なんてやってられません。ただ、大きな可能性もあります。テーブルグレイプス以外にワイン用としても大きな需要が見込まれます。幸いにも先人の努力のお陰で山梨ブランドは、広く知られており、心を込めて育てた、本物が皆様に支持されることを願わずにはいられません。


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